旅で疲れた体と胃袋に優しく沁み渡る「남포수제비」のスジェビ

練った小麦粉を指でちぎり、出汁の効いたスープで煮る「スジェビ」。

それは日本で言うところの「すいとん」とよく似ています。

戦後の貧しい時代、家族を抱える家庭の食卓を支えたのもまた同じ。

それは庶民の味であり、韓国の”おふくろの味”でもあるそうです。


南浦洞の街に釜山の人に愛されている「スジェビ」の名店があります。

それが「남포수제비(南浦スジェビ)」

食堂とパン屋の間の細く狭い小さな隙間、

知らなければ、見逃してしまいそうなそこに

「남포수제비」の小さな看板と、

店へと続くこれまた細く狭い階段があります。

階段を上るとそこに現れる、8畳ほどの小さな店。

小さくも歴史を感じる趣き。

約40年間、南浦洞の街で店を営み始めたときからずっと

スジェビ(すいとん)、ジュモパッ(おにぎり)、忠武キンパッ、ビビングクス、

メニューはこの4つだけ。

看板メニューはもちろん、店名にもなっている「スジェビ」です。

ちなみに、この「スジェビ」にはこんな過去も。

あまりの美味しさとその人気に乗っかろうと、

同じ「남포수제비」を名乗る店が街に次々と現れたそう。

そんな”偽物”を一掃すべく、店主は店の屋号を商標登録したそうです。

店に入り口には、この店が”本物”であることを示す、こんな文言も。

「今日も私たちの店を訪問していただきありがとうございます。最近当店のように詐称して、40年余りの伝統とこだわりに無賃乗車しようとする非道徳的模倣店が出てきました。私たち、南浦スジェビはお客様皆さんに被害が及ばぬよう、本店の伝統と信頼を保つため、南浦スジェビのロゴを制作して特許庁に商標登録出願をすることになりました。今後このロゴがない模倣業者は、当社とは何の関連もないことをご了承ください」

”偽物”も出回るほどの人気と美味しさ。

その”本物”のお味は。。。やっぱり、美味しい!!

何より最高なのが、煮干しの出汁が効いたスープです。

奥深く優しいそのスープは、旅先で疲れた体と胃袋にゆっくり沁み渡ります。

スープを一口飲めば、その優しさに「ホウッ」とため息が出てしまうはず。

テーブルにはキムチと味付け用の調味料も。

でも、スープそのものもが美味しいので、味付けの必要は感じないはず。

カクテキを箸休めにつまみつつ、スジェビを食べ進めます。

「スジェビだけじゃちょっとお腹が満たされない」

そんなときは「ジュモパッ」を注文。

アジュマが握る、小さく可愛らしいオニギリ。

これもまた、ほっこりとシンプルで優しい味。


パンチの効いた韓国料理も美味しく楽しいですが

暴飲暴食が続いた朝、胃腸が疲れているときは、

優しくほっこり癒してくれる”おふくろの味”もオススメです!


「남포수제비」

 住所:부산시 중구 창선동1가8-2

電話:051-245-6821

営業時間:10:00〜21:00

スジェビ 「大」5000ウォン「小」4000ウォン

ジェモパッ 4000ウォン

お一人様、はじめました。

釜山を中心に、思い切り食べ、思い切り飲む。 一人旅で出会った「美味しい」を紹介する、女の”お一人様”健忘録

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